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むし歯を予防するためには?

2017年11月8日

当院にお越しの患者様に、今まで受診していた歯科医院でどのようなむし歯予防の処置をされましたか?

むし歯予防のために先生からどのようなお話をお聞きになりましたか?とお尋ねすると

ほとんどの方がクリーニングはしてましたとおっしゃる方がほとんどです。

 

歯を大切にする意識が高まってきている昨今、さすがに歯石を取らなかったりクリーニングをしない

歯科医院はなくなってきていますが、残念ながらむし歯予防のために受けたはずのそのような処置後にもかかわらず数か月たち

当院にお越しいただくとむし歯が多発していたり再発していたりして患者様もとてもショックを受けられ、それをお伝えする私も

非常に残念な気持ちになります。

 

一つはっきり言えることは、歯科医院での専門的な歯石除去のみではむし歯は予防できないということです。

そしてそのむし歯が原因で歯を失ってしまう現状はあまり変わっていません。

 

一般的に広く知られているように喫煙は肺がんの明らかなリスク因子です。

同じようにむし歯にもリスク因子があり、数多くのリスク因子がすでに明らかにされています。

むし歯治療を繰り返しされている方や歯が弱いと思われている方は下記の

リスク因子が複数絡み合っている可能性があり、定期的な歯石除去などのクリーニングだけではなく、

そのリスク因子を減らすことのみこそがむし歯を新たに作らなくすることができると思われます。

 

【リスク因子①】 う蝕(むし歯)病原性細菌の感染

これはなんとなくご理解いただけると思いますが、平易に言うと「歯の汚れ」です。

以前受診された歯科医院で言われたことがあると思いますが、口の中をきれいにしましょう、もしくはしてくださいという部分が

この部分です。歯科医院でクリーニングするのもこの部分のリスクを減らすためのアプローチです。

また歯間ブラシやフロスの使用の励行、もしくは電動歯ブラシの使用などもこの部分の改善を目的としたものです。

 

お口の中は約900種類の細菌が存在していますが、むし歯を引き起こすことができるもしくはむし歯に関連があると思われている

細菌は約20種類から40種類と言われており、その他の細菌はむし歯に関連しません。

歯の表面の堆積した汚れの中でこのむし歯に関連する細菌の密度が高ければ高いほどむし歯のリスクが高くなることがわかっていますので

可能な限り日々のケアと歯科医院で歯の表面に付着している細菌を少なくすることが単純にむし歯のリスク軽減につながります。

 

また、よく患者様からお口をブクブクする洗口剤はむし歯予防には効果的ですか?とご質問を受けますが、

基本的にこのむし歯を発生させるう蝕(むし歯)病原性細菌は自分たちの種の生存を脅かされないように

歯の表面にグルカンと言われるベトベトした物質を介してくっついているため

ゆすぐ程度では取れないようになっています。ですのでブラッシングやフロッシングのようなもので

こすって除去しないと取り除けないので、フッ素洗口剤以外のものはむし歯予防には懐疑的です。

(しかも市販されている洗口剤はpH2~3で調整されているものがほとんどなので

次に述べるように歯が溶けだす基準値のpH5.5よりも酸性の液体です。)

 

【リスク因子②】 唾液の質の低下及び唾液流出量の低下

唾液はむし歯から歯を守るための重要な防御因子の一つです。

食物の消化を促進したり微生物の感染から体を守ったり、

口腔内のpHを調整したりと様々な役割が唾液にはあります。

我々の普段の食事の中で、様々な食品が入ると、歯が溶かされ脱灰という状態になり

歯の無機質成分が溶かされ、顕微鏡レベルでは初期むし歯が発生しています。

(砂糖やミルクの入っていないコーヒーや炭酸水、オレンジジュースなどでも

歯が溶けだす基準値の臨界pHであるpH5.5よりも酸性なので理論的には脱灰が起きています!)

唾液はその初期むし歯を修復して治し再石灰化する機能が備わっていますので

加齢による口腔内の乾燥や、高血圧や糖尿病などの薬剤服用によるドライマウス、睡眠時の口呼吸などは

むし歯のリスクを確実に上昇させます。

 

また、唾液には質と量も重要になってきます。

実は唾液の質の問題でもある再石灰化する力が強いか弱いかは、持って生まれた遺伝的要因が絡んでいますので後付けで強くすることができません。

唾液を少量採取して再石灰化する力を測ることもできるのですが、ほぼその結果は自身の今までの口腔内のむし歯の本数と過去の治療本数の履歴と相関します。

量に関しては単純に唾液の分泌量が多い方がむし歯のリスクを相対的に下げることができると言われております。

皆様の身近な方にもいらっしゃると思いますが、あまりお口の中のケアをしていないのにむし歯で歯科医院を頻繁に受診されたことのない方などは、

唾液の力が強い、つまりは言い換えると多少むし歯になりかけても再石灰化する力が強い方かもしれません。

 

では、この部分のリスク因子をどのように補うかですが、

それは「フッ素」と「キシリトール」です。

これらの使い方、むし歯予防の効果的な使い方に関しては次回以降お話しできればと思います。

 

【リスク因子③】頻回の間食 酸性飲料(炭酸水)の摂取 不規則な食事

一日のうちで我々は食事をすると口腔内のpH値は酸性に傾きます。

また、飲食の回数が増えるほど

(ダイエット等で少量ずつ小分けにして食事を摂取したり間食をしたり、コーヒーや紅茶などの頻回の摂取をしたりするほど)

むし歯の原因菌が増殖するきっかけをつくり、歯の表面が脱灰状態としてむし歯を発生させます。

もちろん健常者は飲食後15分~30分もすると、食事で刺激されたpH値が高い(pH7.8)唾液によって中性に戻されるので

(通常は唾液はpH6.75でほぼ中性)歯が溶けてむし歯になることはあまりありません。

ただ、お仕事中に間食ができる環境であったり、食事が不規則であったり、何か口に入れる習慣がある方は

その生活スタイル自体が実はむし歯の発生と大きくかかわっている事実を認識するべきです。

 

以上、むし歯のリスク因子として明確にわかっていることをご説明いたしました。

御自身のむし歯のなりやすさがどの部分が原因で起こっているか

なかなかわかりにくところですし、

単純にむし歯にならないために一生懸命に歯みがきを頑張ればよいというものでもないので

ぜひ一度ご来院頂きご相談いただければと思います。

 

 

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